この記事ではよく使うDC入力において、どのように入力ユニットを選べばよいか?という事で、覚えておきたい入力方式4つについて解説します。
コモンとは
"コモン"とは英語で書くと"Common"、つまり”共通”です。共通で使用する線の意味で、このように言われています。電気回路図面ではよく"COM"と表示されます。
一体どこをどう共通にするのでしょうか?解説していきます。
このような回路があるとします。スイッチやセンサを1つずつ入力ユニットへ入力するための回路です。
入力1点に注目してみましょう。24Vと0Vがそれぞれにつながっていますね。24Vと0Vにつながっている線の数を数えてみましょう。
全部で6本あることが分かります。ここで少し考えてみます。0Vに接続する線はすべて入力ユニットからそのまま出てきています。
このように共通化します
これをユニット内部で1本にまとめられないか?
ということで入力ユニット内部で0Vにつながる線をまとめてみました。結果がこちらです。
はい、このようになりました。このように0Vへ接続する線をまとめて共通化させることができました。
このように1本にまとめられて、最終的に0Vなどに接続されている線の事を”コモンライン”や”コモン”と呼びます。
ちなみにこの時の24Vと0Vにつながっている線の数を数えてみましょう。
全部で4本あります。先ほどの回路から2本削減できました。
これが入力ユニットの種類によっては32点や64点つながるものがありますので、もし1本1本律義に0Vにつないでいたら大変なことになりますよね。
このようにコモンラインは重要な役割をしているのです。
コモンにもメリット・デメリットがあります
線を1本にまとめられるので省配線になっていいね。と思いますが、デメリットも存在します。
■メリット
・0Vラインなどが1本にまとめられるので、作業時間の短縮やコストダウンにつながる。
■デメリット
・断線すると、関わっている全ての信号を入力することが出来なくなる。
デメリットも解釈を変えれば安全側に働く意味ではメリットになります。まずはPLCを理解していくにあたって、最初に理解する必要のある部分ですので、是非とも覚えておきたいですね。
プラスコモンとは
コモンが24V側の場合に"プラスコモン"と呼びます。プラスコモンを採用している入力ユニットは"ソース入力"とも呼ばれます。
プラス側のコモンとはどういったものなのか?説明します。
先ほどのコモンの説明にあった回路は0V側がコモンでしたが、こちらの回路は24V側がコモンになっています。このように24V側がコモンのものをプラスコモンと呼びます。
X000を例に見ていきます。スイッチがONすると、赤の点線の順序で入力ユニット内部の入力リレーに24Vが印加されて導通します。導通することでX000のON信号が内部入力されます。
もしプラスコモンで断線したら
断線したら関わっている全ての信号を入力することが出来なくなります。コモンラインが24V接続ですので、仮に断線した線が制御盤の側面などマイナスアースがとられているような筐体に接触しても電圧が印加されません。
その意味では安全な事から、ヨーロッパで主に採用されています。
マイナスコモンとは
コモンが0Vの場合に"マイナスコモン"と呼びます。マイナスコモンを採用している入力ユニットは"シンク入力"とも呼ばれます。
マイナス側のコモンとはどういったものなのか?実はコモンの説明をさせてもらった時の例が、まさにマイナスコモンの例でした。
このように0V側がコモンのものをマイナスコモンと呼びます。
X000を例に見ていきます。こちらもスイッチがONすると、赤の点線矢印の順序で入力ユニット内部の入力リレーに24Vが印加されて導通します。導通することでX000のON信号が内部入力されます。
もしマイナスコモンで断線したら
こちらも断線したら関わっている全ての信号を入力することが出来なくなります。日本やアメリカではこの方式がよく使用されています。
コモンラインが0V接続ですので、仮に断線した線が制御盤の側面などマイナスアースがとられているような筐体に接触した場合は電圧が印加されてしまうために信号が誤作動を起こす可能性が高くなるデメリットはあります。このような安全上の理由から日本でもプラスコモンを採用するところが増えてきています。
センサ出力でのNPNとPNPについて
結論から先に行ってしまいますと、センサ出力がNPNの場合はプラスコモンタイプの入力ユニットを選定し、センサ出力がPNPの場合はマイナスコモンタイプの入力ユニットを選定します。
プラスコモンとマイナスコモンの違いについて解説してきましたが、もう一つ 気にしなければならないのがNPNとPNPです。センサ出力でのNPNとPNPはトランジスタ出力の違いを意味します。
それぞれ解説していきます。
NPN型トランジスタ出力とは
まずはNPN型トランジスタについて解説します。
これはNPN型トランジスタの図です。
”E”、”C”、”B”にはそれぞれ名前が付いています。
・E :エミッタ
・C:コレクタ
・B:ベース
ここで思い出した方もいらっしゃるのではないでしょうか?そうです、学校などで「エクボ」と覚えましょうと言われたアレです(笑)
NPN型トランジスタはベース(B)からエミッタ(E)へ向けて電流が流れると、コレクタ(C)からエミッタ(E)へ電流が流れるという特性を持っています。もう少し詳しくNPN出力のセンサの図を使って説明します。
NPN出力センサの回路図はこのように表されます。物を検出したらONするセンサを例としまして、センサで物を検出したらセンサ回路からNPNトランジスタのベース(B)へ電流を流します。
すると、ベース(B)からエミッタ(E)へ向けて電流が流れて負荷を通じて、コレクタ(C)からエミッタ(E)へ電流が流れるようになります。このセンサのON/OFF情報をPLC入力ユニットに取り込む場合、この負荷というのは入力ユニットの内部リレーを指します。コレクタ(C)からエミッタ(E)と通じてこの負荷にも電流が流れるので、結果内部リレーがONしてその信号を取り込むことが出来るというわけです。
実際の回路ではこうなります
それでは具体的に入力ユニットへ接続した場合はどのようになるのでしょうか?
プラスコモンの入力ユニットへ接続した場合、このようになります。
ここで先ほどのようにセンサで物を検出した時の流れを見ていきましょう。
センサが物を検出するとコレクタ(C)とエミッタ(E)へ電流が流れるので、赤の点線矢印の順序で入力ユニット内部の入力リレーが導通します。導通することでX001のON信号が内部入力されます。
ここまでがNPNトランジスタ出力のセンサとプラスコモン入力へ接続した場合の解説となります。
PNP型トランジスタ出力とは
次にPNP型トランジスタ出力について説明します。
PNP型トランジスタはNPN型とは逆にエミッタ(E)からベース(B)へ向けて電流が流れると、エミッタ(E)からコレクタ(C)へ電流が流れるという特性を持っています。
次にPNP出力のセンサの図を使って説明します。
PNP出力センサの回路図はこのように表されます。
物を検出したらONするセンサを例としまして、センサで物を検出したらセンサ回路がONしてPNPトランジスタのエミッタ(E)からベース(B)へ電流を流します。
すると、エミッタ(E)からベース(B)へ向けて電流が流れて、エミッタ(E)からコレクタ(C)へ電流が流れて負荷へもそのまま流れます。このセンサのON/OFF情報をPLC入力ユニットに取り込む場合、この負荷というのは入力ユニットの内部リレーを指します。エミッタ(E)、コレクタ(C)と通じてこの負荷にも電流が流れるので、結果内部リレーがONしてその信号を取り込むことが出来るというわけです。
実際の回路ではこうなります
それでは具体的に入力ユニットへ接続した場合はどのようになるのでしょうか?
マイナスコモンの入力ユニットへ接続した場合、このようになります。
ここで先ほどのようにセンサで物を検出した時の流れを見ていきましょう。
センサが物を検出するとエミッタ(E)、コレクタ(C)へ電流が流れるので、赤の点線矢印の順序で入力ユニット内部の入力リレーが導通します。導通することでX001のON信号が内部入力されます。
ここまでがPNPトランジスタ出力のセンサとマイナスコモン入力へ接続した場合の解説となります。
まとめ
今回の記事を要約するとこんな感じです。
ポイント要約
①センサ出力がNPNの場合はプラスコモンタイプの入力ユニットを選定します。
②センサ出力がPNPの場合はマイナスコモンタイプの入力ユニットを選定します。