この記事ではシリンダを制御するのに知っておきたいマンデーモーニング現象とその対策について解説します。
目次
マンデーモーニング現象とは
そのまま訳すと、「月曜日の朝の現象」になります。
月曜日の朝は週の始まりなので、装置の電源を入れて、さあ運転。
「あれ、シリンダが動かない・・・」。確認するために手動操作でシリンダの”出/戻”を実施したら動作するようになりだしました。しばらく空運転し、その後は問題なく動作しています。
特に月曜日に限ったことではなく、装置を止め、期間を空けてから装置を稼働させた時にシリンダなどの空圧機器が正常に動かない現象をマンデーモーニング現象と呼ばれています。
なぜマンデーモーニング現象は発生するのか?
マンデーモーニング現象の要因は2つあります。
①長時間の装置停止
②外部の温度変化
それぞれ解説していきます。
長時間の装置停止
それぞれ機械の構造などにより異なるのですが、主な理由は潤滑油(グリスなど)のなじみ方が変わるからです。
潤滑されて問題なかった接触部分にあった潤滑油が、停止中に自重などの要因で流れてしまって次の動作の時に引っかかってしまって動きにくくなります。
外部の温度変化
これも機械の構造によりますが、部材の収縮による組み付けのバランスが変わることも要因として存在します。
アルミやステンレスなどの部材は、熱膨張を起こします。どのくらい熱膨張を起こすかはそれぞれの部材の熱膨張率で変わります。
例えばアルミの場合ですと10℃の変化で、100mmの長さの部材でしたら約23ミクロン膨張します。厄介なのが、どの方向に膨張するのかわからないことです。またその逆で、同じように収縮もしないので本当に厄介です。
どうやって回避するのか
マンデーモーニング現象はどのように回避すればよいのでしょうか?
単純に考えれば、先ほどの説明させて頂いた事と逆の事をやればOKです。
①長時間の装置停止をさせない
②外部の温度を一定にする
もちろん「そうしましょう」などと書いて終わらせるようでは、明日から使えるテクニックではありませんよね(笑)。
それぞれ現実的な対処方法を解説していきますね。
対策について
結論を言うと、PLCソフトで60%回避・環境で40%回避といった感じです。
①製作仕様書などに記載されている温度環境へ復元する。
②原点復帰動作時にシリンダ”出/戻”の馴染ませ動作を付加する
③アクチュエータがアブソリュートの場合、定点復帰時か自動運転前に馴染ませ動作を付加する
④一定時間空運転させる。
まず①で装置の仕様書で温度環境を記載している場合は、その温度に復元してください。それから②・③・④の手順を踏みます。
マンデーモーニング現象の場合、ほぼこの対策で回避することができます。
それでもなかなか動きが渋い場合や動かない時は状況を切り分けて考えていきます。
エアシリンダ部の配管部でエアが正常に切り替わる
この場合はこの2つを確認してください。
エアシリンダの先の機構部の動作不良・渋り
エアシリンダ本体の動作渋り
機構なのか、シリンダ単体の問題かを切り分けます。そこから問題を追ってみて下さい。
エアシリンダ部の配管部でエアが正常に切り替わらない
この場合、この2つを確認してください。
ソレノイドバルブ本体の動作渋り
配管の接続不良など
マンデーモーニング現象について解説しましたが、解決しない場合はスティックスリップ現象が発生している可能性があります。スティックスリップについては別の記事で解説しますね。
まとめ
今回の記事を要約するとこんな感じです。
ポイント要約
①マンデーモーニング現象とは長時間停止後にシリンダなどの空圧機器が正常に動かない現象のこと
②製作仕様書などに記載されている温度環境へ復元する
③事前に原点復帰や空運転で馴染ませ動作させる
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