この記事ではシリンダを制御するのに知っておきたいスティクスリップ現象とその対策について解説します。
今回の内容については「制御で何か対策する」と言った内容ではなく、マンデーモーニング現象との違いをメインに執筆しています。
目次
スティックスリップ現象とは
シリンダを駆動させた際、このような動作を経験したことはありませんか?
高速だと問題なく動くのに、低速で動作させたら振動する
停止状態から動作する瞬間に振動する
振動を伴いながら動作する
数分~数十分動かしても動作が改善しない
エアー元圧が安定していることが前提ですが、それはスティックスリップ現象が発生している可能性があります。
工作機械や精度が要求される装置でこのような事が起こると非常に厄介ですよね。
よく似た現象にマンデーモーニング現象がありますが、この場合は数分から数分程度動かせば改善する場合がほとんどです。
詳しい内容は別の記事で紹介しています。
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切り分け方としては、何度動かしても問題が解消しない場合です。あまり数十分も検証してしまうと内部のOリング等を痛めてしまいますので注意が必要です。
スティックスリップ現象は発生するのか?
要因は主にOリングや軸受けなどの潤滑状態の変化によるものです。
もう少し詳しく内容を紹介すると
①速度による摩擦抵抗の変化
②動作時の形状面の変化
③機械共振
などがあります。
スティックスリップ現象の対策について
なんだか対策の想像がしづらいですが、結論からお話すると、各空圧メーカーさんのオプションや鉱油メーカーさんなどから対策された部材がリリースされていますので一例を紹介していきます。
製作仕様書などに記載されている温度環境へ復元する
使用環境についての記載がある場合は、記載通りの環境であるかを確認します。そうでない場合は、まず環境を復元してください。
熱膨張などの要因を取り除くためです。
対策済みのグリスを使用する
空圧メーカさんのオプション品や鉱油メーカーさんからリリースされています。
用途に合わせて検討してみてはいかがでしょうか。
対策済みのOリングを使用する
こちらも空圧メーカさんのオプション品等でリリースされています。
対策品は先端に丸みがついていたり、柔らかい材質のものがあります。
まとめ
今回の記事を要約するとこんな感じです。
ポイント要約
①シリンダ動作で振動が出て、何度動かしても振動がやまない場合はスティックスリップ現象の疑いがあります
②マンデーモーニング現象との違いは、数回~数分動かして結果が変わるかどうか
③環境や対策済みの部材を使用する