この記事ではPLCソフト設計でコメントをルール化するメリットとその具体例について解説していきます。
目次
”コメントのルール化”とは
結論としまして、「略称を使ってルール化する」ことです。
例えばGX-works2だと半角32文字縛りがあったりと、限られたコメント文字制限数の中でいかに直観でわかるように表現するが大事になってきます。
もうすでに会社で決まっていたり、MYルール定めてらっしゃる場合は、それを無理に変える必要はないと思います。今回は私の方で実践している内容についてお伝えしたいと思います。絶対的な決まりはありませんので、考え方として捉えて頂ければOKです。
なぜコメントをルール化するのか
結論から言いますと、設計時の時間短縮とミスの防止です。
それではコメントをルール化することでなぜ時間短縮とミスの防止につながるのでしょうか。大きく2つの理由が挙げられます。
①設計時に混乱を招かない
②直観で分かるようになる
それではもう少し具体的に説明していきます。
設計時に混乱を招かない
例えば上位PCとのMCプロトコルによるデータ通信でMやDを使っている場合、ただ用途をコメントとして書いているだけだとどこが通信制御用のエリアで、どこがラダー内の補助メモリーやレジスタで使っているかがかわからなくなります。
これは、前に記事にしましたアドレスのルール化と少しかぶってくる所があるのですが、アドレスのエリアを明確に決めて、なおかつコメントでわかりやすくできれば、何もしないよりも確実にミスは減ります。
直観で分かるようになる
"直感"ではなく直観です。本来”直観”は直接的に本質を捉える意味で使われます。
ここでは私として、"直感"と”直観”を足して2で割る感覚で考えています。瞬間的に感覚でかつ本質を捉える。いわばイメージングするような意味です。
設計時に機械図面などを見て、全体図をイメージしながら機械の気持ちになって動きを考える必要があります。コメントからイメージが出来るように名前を付けることが出来れば、設計時のイメージングに役立ちます。それだけではなく、毎度「これ何だったっけ?」と考える時間も短縮されます。
どういった項目をルール化するのか
装置の構成や規模的なものにもよりますが、具体例を挙げていきます。
①センサ
②電磁弁
③ステッピングモータ
④サーボモータ
⑤押釦スイッチ
⑥シグナルタワー
⑦インバータ
⑧PCとのデータ通信
この辺りは過去の事例からピックアップして、洗い出してみて下さい。本来はもっと項目はあると思います。それぞれに略称を振っていきます。
①センサ・・・S
②電磁弁・・・SV
③ステッピングモータ・・・STM
④サーボモータ・・・SVM
⑤押釦スイッチ・・・PB
⑥シグナルタワー・・・ST
⑦インバータ・・・INV
⑧PCとのデータ通信
PC→PLC・・・PCヨリ
PLC→PC・・・PCヘ
などなど
略称は実際の電気図面の記載に合わせると効果的です。実際にアドレスを振っていくと
Y10:搬送部ワーク吸着電磁弁⇒SV_搬送部ワーク吸着
X108:ワーク搬送サーボモータ軸1位置決め完了⇒SVM1_ワーク搬送位置決め完了
こんな感じで書くと、最初の数文字をパッと見ればそのあとでイメージしながら詳細をつかむことが出来ます。
また、PCとのデータ通信の場合「M2500:データ転送指令」だけだとラダー内で補助メモリで使っているのか、PCからPLCへの通信なのか、PLCからPCへの通信なのかわかりません。
M2500:ログデータ転送指令⇒PLCヨリ_LOGデータ転送指令
と注意して書くようにすれば、ミスを減らすことが出来ます。
このようにコメントを決めることが出来たら、同じ意味でなおかつ文字を半角にすることで表示文字数制限にも対応できますね。
ただし注意点としまして
①情報の詰め込みすぎはNG
②端的かつイメージしやすくする
あえて余裕があるのに半角32文字ギリギリに合わせる必要はありません。
またGX-Works3では1024文字までコメントの記載が出来ますが、現実的にはズームする倍率などの規制が出てくるので、表示数は限られます。その意味では半角32文字以内で出来るだけ書くことをお勧めします。
まとめ
今回の記事を要約するとこんな感じです。
ポイント要約
①コメントのルール化とは略称を使ってルール化すること
②略称は電気図面に記載の名称に合わせる
③直観で分かるように心がける
④情報の詰め込みすぎはNG