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【初級編】三菱電機PLCのCPUユニットの違いとは?これが分かれば選定できます

2020年3月17日


この記事では三菱電機PLCにおいてどのようにCPUユニットを選べばよいか、今回はQシリーズのユニバーサルモデルを例にポイントを3つ解説します。

注意

この記事ではモーションCPUには触れていません。モーションCPUに関しては別の記事で紹介していきたいと思います。選定に関してはこちら主体で決める場合を想定しています。

プログラム容量

ラダーをどれくらい書くかで決まる要素です。実は選定基準の8割は、ここで決まります。

 

例えば入力a接点LDを1つ書けば1ステップです。MOV命令や四則演算命令などはステップ数が命令により異なります。機械の規模や動きの仕様、どれくらいの制御機器を使うか、サーボモータなどの位置決めが何軸あるかでざっくりこれくらいいるな、と分かるようになります。

 

ここは経験を積めばわかるようになる部分ですので、いきなり初めての方が「この機械なら、何ステップくらいいるからこのCPUですね!」とはなりません。むしろ最初の頃はCPUユニットの選定は先輩や上司がやることがほとんどでしょう。

 

kazuki
この段階では、選定基準のほとんどはステップ数で決まるんだねーくらいの理解でOKです。ちなみに私は想定ステップ数×1.2がいけるスペックを選定するようにしています。

 

型式について

ちなみに三菱電機のQシリーズユニバーサルモデルの場合、CPUの型式は"Q06UDVCPU"のように「Q■■UD〇〇CPU」と表されます。

 

■■には”04"や"06"などの数字が入ります。例えば04ならプログラム容量40Kステップとなります。1Kは1024ですから、ざっくり04なら4万ステップといった感じになります。最大は100で1000Kステップで約100万ステップ入るものも存在します。私はソフト設計で今のところMAXで160K(16万ステップ)組んだことがありますが、色々といい思い出でした(笑)

 

話がそれましたが、○○の部分に入る内容については次の章で解説します。

 

処理速度

基本演算1命令当たりの処理速度です。結論から言うとQシリーズ内に限った場合、処理速度だけでCPUを決めることはほとんどありません。ただし応答性をできる限りよくしたい場合など、プログラム容量が少なくても処理速度を気にする際はCPUのグレードを上げることがまれにあります。

 

とはいえ、今のCPUは昔の三菱Aシリーズに比べれば処理速度が格段に早くなっているので、タクト(※1)0.1秒1ステーション1個ずつ動作の装置などない限りは ほぼほぼ気にしなくてもOKです。今現在私自身そこまで気にした装置に関わったことはありません。その場合はマルチCPU(※2)を導入するといった手があります。

 

※1:タクトとは正式には”タクトタイム”と呼び、ワーク1個が完成する時間のことで装置の生産能力の事をいいます。単位は「時間/個」となります。

※2:マルチCPUとは1システムで2台以上のCPUを積むこと。高速処理などの仕事を分散させて処理時間の軽減を狙うときなどによくやる方式。

 

実際にステップ数と処理速度の関係から、どのCPUを選べばいいのか?三菱電機のHPではこのようなわかりやすい表形式で書いてくれています。

 

最初の章で途中まで解説していました、CPUの型式で「Q■■UD〇〇CPU」の○○の部分に入るところは、処理速度の違いで"D"、"DE"、"DEH"、"DV"などが入ります。それぞれ処理速度の違うことがわかります。

 

接続ポートの種類

CPUの型式で「Q■■UD〇〇CPU」の○○の部分に入る"D"、"DE"、"DEH"、"DV"の違いで接続ポートの種類も変わります。

 

Q00UCPUの場合はRS-232やUSBしかありませんが、Q03UDVCPUだとUSB、Ethernet、SRAMカセット、SDメモリーカードが使えます。特に大きく違うところはEthernetが接続できる点です。他機器との通信、他メーカーとのPLCリンクなどがこのポートで出来てしまいます。

 

他機器との通信でわざわざEthernetユニットを購入したくない、スロット数に余裕がない、費用的に余裕がない場合など理由は様々ですが、Ethernetが使う必要があって、処理がそこそこ早くてプログラム容量が30K未満なら間違いなく私ならQ03UDVCPUを選定します。

 

実はUDEHとUDVを定価ベースで比較した場合、同じプログラム容量なら値段は同じです。UDVの方が処理速度が速いのでこの場合はUDVを選ばない理由がないです。しかしQ26より上はUDEHしかないため、それを選ぶしかありません。(IQ-Rシリーズを選定するのもアリです。)

 

まとめ

今回の記事を要約するとこんな感じです。

ポイント要約

①装置の機器構成ど動作仕様でプログラム容量が決まります。

②CPUグレードはプログラム容量と接続ポートの種類でほぼ決まります。

③UDEHとUDVを定価ベースで比較した場合、同じプログラム容量なら値段は同じなので、処理速度が速いUDVを選定した方がいいです。

 

kazuki
CPUの選定について書きましたが、お客様からCPUの指定がある場合もあります。またお客様によっては対応アプリケーションGX-Works2を持っていないなどの条件がある場合がありますので、この限りではないです。あくまでもこちら主体で決める場合にこの記事を参考にしていただければと思います。

 

  • この記事を書いた人

kazuki

電気設計・PLCソフト設計業務を主にやっています。20歳から搬送装置メーカー・半導体製造装置メーカーを経て、現在は兵庫県明石市でFAソフトウェア 設計・合同会社テクニカルシーケンスを経営。

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