初心者向け

【初級編】PLCでどうゆうことが出来るの?

2020年3月16日


 

この記事ではPLCを使ってどんなことが出来るのか、初めての方でもわかりやすい形で解説します。

入力した情報から、自由自在に出力をコントロール

リレーで設計した場合、1つの入力に対して1~4つの程度の出力しか出すことが出来ません。

 

動作条件が増えた場合は、さらにその条件を出力するためのリレーが必要になるのでリレーの個数が膨大になるのです。

 

もし条件が間違えていたり、構想通りの動きにならない場合は、条件の組み直し・リレーの追加・配線のやり直しが発生します。

 

しかしPLCを使用すれば、どのような条件でどう出力したいか、どのように組むかをソフトで自由に組むことが出来ます。構想通りの動きにならない場合はリレー回路のように配線をやり直したりする手間が無く、ソフトを変更するだけで修正出来ます。

 

kazuki
とはいえ、構想の段階できちんと動きを考えておかないと予期せぬ動きをして機器を壊してしまったり、他の作業者に危険が及ぶことがありますので、安易に考えずに色々な状況を想定して設計しましょう。

 

モータの回転量や速度をコントロール

産業界には色々な種類のモーターが使用されていますが、その中でもステッピングモータやサーボモータと呼ばれるモータがあります。PLCユニットからパルスを出して、パルスの密度(周波数)で速度などを決めてパルスが出た分だけ回転させることが出来ます。

 

よくモノづくりの世界で、PLCユニットでパルスを出してモータを回転させるためのユニットの事を「位置決めユニット」と呼ばれています。

 

なぜモータを回転させているのに「位置決め」なのか?少し脱線しますがその理由についてお話します。

 

位置決め

例えば、このような機構があります。この絵の機構を「ベルトプーリ機構」や「ベルト位置決め」と呼びます。

 

手前のモータでプーリーを介してベルトを駆動させます。例えばモータ1回転でベルトが100mm動くとします。

 

モータ1回転させるのに5000回パルスを打つ必要があれば5000パルスで100mm動きます。2500パルス打てば50mm動きますね。

 

このような感じで移動させたい量のパルスを打つことが出来るのと、モータの用途がこのように何かを動かしてモノを移動させることが目的であることから三菱電機の場合は「位置決めユニット」と呼ばれています。

 

上の例では、電気信号によるパルス発生器ですので実際には「パルスジェネレータ」ですが、(略して「パルジェネ」と言ったりします。)モーションユニットなどパルスではなく光リンクなどでデータ通信するものもあるので、総称して「位置決め」とよばれることが多いです。

 

ステッピングモータやサーボモータ、モーションコントローラや光リンクについては別の記事でその制御方法の違いや特徴をお伝えします。

 

kazuki
ステッピングモータやサーボモータについて今の段階で理解しようとすると大変なので、ひとまずPLCでパルスが打てて、パルスを打てばこのようなことが出来るんだなーくらいの理解で大丈夫ですよ。

 

制御機器とネットワークを使ってコントロール

PLC同士で通信したり、PLCからネットワーク経由でPCなどサーバーと通信したり、その他の制御機器を動かすことが出来ます。

 

PLC同士で通信させる

あまりピンと来ないかもしれませんが、ざっくりいうとそれぞれのPLCで数値情報などを共有することが出来ます。

 

主に別装置同士で通信したいときに使います。これは三菱同士だけでなく、三菱ーキーエンスなど他社PLCとも通信することが出来ます。

 

PLCユニットをサーボモータを通信させる

さきほど少し触れましたが、サーボモータを動かす際に、モーションユニットなどからパルスではなく光リンクでデータ通信をして動かしたりすることもできます。三菱の場合はSSCNET(読み方:エスエスシー ネット)という光リンク通信があります。

 

データで、どの位置にこの速度でどのように動かす。といった形で指示して動かすことが出来ます。

 

PCと通信させる

管理PCやサーバーなどと通信することが出来ます。

 

よくある例としまして生産状況や「いつ・どんな品種のものを・どのラインで・どんなデータで・どこに出荷された」などの情報を蓄積するために管理PCやサーバーと通信したりします。

 

ちなみにこのことをトレーサビリティと言います。(略して「トレサビ」と言ったりします。) 品質管理のために生産状態を蓄積することで、生産の見える化を進めるところが増えてきています。

 

各制御機器と通信させる

センサと通信して、入力情報をもらったり、ロボットと通信して動かしたりすることが出来ます。(ロボットの場合は別にロボット用のプログラムが必要な場合があります。)

 

各機器と通信させる方式に主にシリアル通信(RS-232C、RS-422、RS-485)、CC-Link(読み方:シーシーリンク)などがあります。CC-Linkの場合は直接1つ1つ信号をPLCユニットから配線する必要がなく、配線が少なくて済むメリットがあります。シリアル通信は機器と送信・受信の交信を行い、データ通信する方式です。

 

まとめ

今回の記事を要約するとこんな感じです。

ポイント要約

①入力と出力は自由自在。

②サーボモータなどの位置決め制御も得意です。

③多彩な通信方式で色々な機器と通信できる。

④PCとの通信を利用して「生産状態の見える化」をしているところが増えてきている

 

kazuki
他にもアナログ・ディジタル変換やパルスカウントなど色々なことが出来ますよ。各ユニット詳細は下の記事で紹介しています。
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  • この記事を書いた人

kazuki

電気設計・PLCソフト設計業務を主にやっています。20歳から搬送装置メーカー・半導体製造装置メーカーを経て、現在は兵庫県明石市でFAソフトウェア 設計・合同会社テクニカルシーケンスを経営。

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