この記事では三菱電機PLCの「内部クロック」について、1秒クロック・2秒クロックなどを使う時の注意点を解説します。
注意
この内容は内部クロック使用する上で、内部クロックについての理解を深めるための注意点として解説しています。「必ずそうしないといけない」など、手法を強制するものではありません。これから紹介する例についてはご自身の環境に合わせて運用して下さい。
目次
内部クロックとは
三菱電機QシリーズやIQ-F・IQ-Rの場合、SM409~SM415に内部クロックが上記のように割り付けられています。
これはPLCが独自に持っている内部的なクロックで、PLCが「RUN」の状態であれば、決められた周期でON/OFFしています。
今回の結論を先にお話しすると、これらのクロックはPLC内で自らON/OFFしているものになります。つまり非同期です。
簡易的な時間のカウントなどに使用する分には何ら問題有りませんが、実際に注意して使用しなければならない場面も出てきます。今回はそんな、気を付けなければならない場面とその回避方法について説明します。
気を付けなければならない場面とは
理由の説明をする前に、まずは例から紹介していきます。
例えば、「異常発生⇒ブザーを1秒クロックでONさせたい」となると、理想はこうですね。
①異常発生
②ブザー0.5secON
③ブザー0.5secOFF
④ブザーOFF指令まで②と③を繰り返す
この時にブザー本体の仕様については、信号ONの間は鳴動し続ける
「連続鳴動」するもの
とします。
先ほどの①~④を内部クロックを使って表現すると、こんな感じになります。
M50、M51、M52は各パートで異常発生が無い時(正常時)にONするメモリーであるとします。
そうした場合、異常発生時にM70がOFFしますので、M90の自己保持回路がONしますね。
このM90がONしている時にSM412(1秒クロック)を使ってY3(ブザー)を鳴動させます。
このように書いた場合、「①異常発生」のタイミングと「②ブザー0.5secON」がドンピシャに当たれば、きれいにブザーが鳴動します。
タイミングチャートを書くと、こんな感じになります。
理想はこうですね。
しかしながら、実際はこのようになることがほとんどです・・・
または・・・
タイミングが合わない場合、異常が発生してすぐにブザーを鳴らしたいのに、「最初の0.5秒間はブザーが鳴らない」と言った事も起こりえます。
実際には、M90がONしたタイミングで綺麗にクロックがONからスタートして欲しいですよね。このようなことはブザーだけでなく、例えばLED表示灯など、他の部分でも同じことが言えます。
では綺麗にクロックをスタートするにはどうすればいいのでしょうか?ラダーの作成例と対策を一緒に解説していきます。
フリッカ回路について
早速ですが、ラダーで書いた例を紹介します。通称フリッカ回路と呼ばれる回路になります。
流れとしてはこんな感じです
①M90がON
②T100がカウントアップ開始
③M91がON
③T100がカウントアップ完了
④T101がカウントアップ開始
⑤M91がOFF
⑥T101がカウントアップ完了
⑦ここで②へ戻る
★動作途中でM90がOFFすれば、M91もOFFします。
M90がOFFするまでは、②~⑥を繰り返します。
大体イメージは沸きましたでしょうか?
このラダーを作成した場合のタイミングチャートはこのようになります。
M90とY3がきれいに同期したブザー制御が出来るようになりました。
ON/OFFの時間をさらにコントロールしたい場合は、T100、T101のK〇〇の部分を変更すればOKです。
ここまで、内部クロックの注意する点とフリッカ回路を使っての対策をお伝えしました。フリッカ回路はON/OFFを開始したいタイミングを自身で決められるので広く運用されている回路です。実際にラダーで書いてみて、シミュレーションでモニタして確認してみるとイメージがさらに沸いて良いかと思います。
まとめ
今回の記事を要約するとこんな感じです。
ポイント要約
①三菱電機PLCの内部クロックはPLC内で自らON/OFFするもので、非同期で動いている
②同期させて動かすならフリッカ回路を使って制御する